ファッションタウンづくり全国大会2002
児島大会参加報告
■開催テーマ
進化するファッションタウン

〜もの・まち・くらし・ひと・
あきないづくりのファッションタウン〜

■開催日
2002年11月9日(土)10日(日)
■会 場

倉敷ファッションセンター・児島競艇場・
むかし下津井回船問屋他

■参加者

山口正夫運営委員長・荒島スミ子運営委員・
井置晃子生活文化委員長
北川紘一郎まちづくり委員長・
塚越紀隆運営委員・石原雄二(事務局)

■全国大会開催の背景
 倉敷市は、岡山県南西部、瀬戸内海に面し、人口43万1487人。昭和42年に旧倉敷・児島・玉島の三市が合併し、現在の市となった。水島コンビナートに代表される工業都市、白壁の蔵屋敷が建ち並ぶ美観地区と倉敷チボリ公園には、年間600万人を超える観光客が訪れる観光都市と多彩な顔を持つまちでもある。

ファッションタウン構想は、児島地区(人口7万9000人)で児島商工会議所を中心に進められている。同地区は、瀬戸大橋・児島―坂出ルートの起点にあり、古くは金毘羅参詣に向かう旅人で賑わったまち。明治以降は綿糸の生産が盛んになり、大正年間は足袋の生産で全国一となった。足袋の縫製技術が学生服の生産に活用され、昭和三十年代には全国シェアの70%を占めた。産業構造が変遷していくなかで、ものづくり機能の集積が進み、平成11年にファッションタウン推進協議会を設立している。会長は高田幸雄児島商工会議所会頭。



◎児島ものがたりツアー
児島地区におけるファッションタウン推進に向けての様々な産業資源や歴史、文化を訪ねるオリジナル・ツアー。桐生の参加者は全員、北前船が活躍していた頃の古い漁港の風情を残す下津井地区を巡る「さかな物語コース」に参加した。
北前船の寄港地として栄えた下津井には綿・菜種・藍などお肥料としてのニシン粕が運ばれ、保管するための蔵が建ち並んでいた。現在もその面影を色濃く残す昔町であり、当時の問屋仲買業の母屋やニシン蔵を復元した「むかし下津井回船問屋」を視察。見事な商家づくりの中に下津井の歴史や文化に触れる展示品や、古い街並みを散策した。

◎ファッションタウン・シンポジウム
11月10日が全国大会の本番、児島競艇場の三階を会場に午前9時からファッションタウン・シンポジウムを開催した。ファッションタウン推進委員長の泉眞也氏(環境デザイナー)がオープニングスピーチを行い、桐生、鯖江(福井県)、今治(愛媛県)、児島の四市からケーススタディ報告が行われた。各報告には推進委員からのアドバイザー報告があり、最後に泉氏らによる総括コメントが行われた。


□オープニングスピーチ

泉氏は、今回のテーマである『進化するファッションタウン』に触れ、「素晴らしいキーワード。“進化”はある目標があって組織とか体が変わるわけではない。その多くは無駄になるが、時代や環境にあった生物だけが生き残る。膨大な失われた命の上に未来が創られていく。その視点でFTを考えていくと、進化を図り多くの試みは失敗かもしれないが、優れた経営者の知恵は、必ず日本を見事な姿にしていくと思う。信用できるのは良質な民間の知恵であり、血みどろの勇気と決断が日本を救う。ファッションタウンの運動はその一つである」と語った。

□ケーススタディ報告□
桐生の山口正夫運営委員長(潟gヨダプロダクツ社長)は、桐生市のファッションタウン運動の展開について、映像を交えながら、これまでの歩み、11月に開催した第7回桐生ファッションウィークの様子などを語り、桐生のファッションタウン推進にかける意気込みを訴えた。
これに対して、アドバイザーの佐々木雅幸立命館大学教授は、「桐生は羽仁五郎の出生地であり、東洋のフィレンツェと呼ばれる自由な職人のまち。江戸時代からファッションタウンの先進的なまちだったのだと思われる。現在の活動は先進的でありながら、歴史をきちんと踏まえている。先進性と独創性をキーワードとして、有鄰館を中心に新たな価値を生み出す空間が出来つつある。多彩な創造の場を創ること、ネットワークの広がりに期待したい」とコメントした。
桐生に続き、鯖江ファッションタウン推進協議会から森本茂鯖江市特命監、今治市ファッションタウン推進協議会からは繁信順一今治市長、ファッションタウン児島推進協議会からは中嶋祥文同協議会副会長が事例発表を行った。鯖江市と今治市は行政主導型、児島と桐生は商工会議所が中心となって運動を展開しており、それぞれの地域特性を生かした地域づくりへの取り組みが報告された。

この中でアドバイザーの望月照彦氏(多摩大学教授)は、「ファッションタウンとはホスピタリティタウン。各地のFT運動は産業クラスター論を超えるかもしれないと思った。ヘリテイジタウンという言葉がイギリスで論議されている。ヘリテイジとは地域の財産であり、イタリアがパリを凌ぐようになったのは、イタリアの数千年の歴史が背景にある。これからは感性と理性によるヘリテイジ・ファッションタウンを創っていかなければならない。その担い手は市民であり、志を持った新しい“志民”である」と語った。
大会の最後に当たり、参加者を代表し、ファッションタウン児島推進協議会副会長の東谷夏樹氏より、「国に頼らず地方は自らの知恵と力で地域づくりを行っていかなければいけない」とする大会宣言が行われ、満場の拍手で採択された。

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