2004わがまち風景賞

桐生森芳工場

所在地:桐生市東2-2-14-27
所有者:森山喜恵子氏

 桐生織物の先覚者である森山芳平(初代、二代)ゆかりのノコギリ屋根工場で、昭和初年に二代目芳平により建てられたものである。昭和45年に織物業を廃業し、30年余りの年月を重ね、傷みが激しくなり老朽化していったが、平成15年から16年にかけて再生された。
 10年前から「桐生再演〜街における試み」と題した美術展を開催している若いアーティスト、学生たちの活動の拠点となってきたのが再生への契機となった。
 平成15年、「解体」を前提とした工事が行われたが、森山家の人々の思いとボランティアで作業に当たった「桐生再演」の作家、学生たちの熱意、最終的には建築家からの「修復可能」の言葉で、工事は一気に「保存」へと方向を変え、各分野の匠の手と作家との合同制作のような趣で、年末までには大方が終了した。

 工事に携わった作家、学生たちは延べ600人を超え、平成16年3月に彼らは「桐生再演9、森芳プロジェクト2003〜2003」として、工事過程の記録写真や映像などの資料展示を行い、地域にその全貌を公開した。
 見事に甦ったノコギリ屋根「桐生森芳工場」。先覚者とその家族、工場を巡る作家や学生、工事関係者など多くの人たちの思いが吹き込まれている。


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