2003わがまち風景賞

須藤禮子邸

所在地:桐生市堤町1-14-32
所有者:須藤禮子氏


 「桐生の鹿鳴館」とも称される須藤邸は、大正末期、桐生有数の織物工場であった金善輸出織物工場を経営する金居常八郎氏が居宅と事務所として建設したものだ。
 以前は隣接地に織物工場があり、地下通路でつながっていたという。桐生市文化財保護課がまとめた桐生洋風建造物リストには「大オーダーの柱型が漆喰塗りの壁面に浮き彫りになって表れている。柱間の丸窓、パラペットのくり型、厚い煉瓦など、多に例を見ない斬新なデザイン要素を揃えた、異色の作である」と解説されている。
 金善輸出織物は戦時中の企業統合により廃業、昭和29年から須藤氏が所有している。以来、建物が持つ大正浪漫の雰囲気を大切に生かしながら手入れが施されている。部屋数は1階と2階にそれぞれ7室ずつあり、吹き抜けとなった玄関ホール、大広間は圧巻である。
 織物全盛期の産業界の中心にいた経営者の生活や趣味、意気込みがうかがわれる須藤邸は現在の所有者にしっかりと守られ、桐生のランドマークといえる風景を創り出している。
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