桐生商工会議所　会員事業所からの発信

「地元愛」の心で 【後藤酒店】

近年、コンビニや大型スーパーの出店が相次ぎ、地域の小売店は厳しい経営を強いられているが、弛まぬ努力で地元に密着した営業を続けるお店も市内には数多い。後藤酒店（東五丁目）もそのひとつ。

創業は古く、大正時代。現在の店主、後藤荘吉さんの祖父、後藤久右衛門が後藤デパートを開業した。当時の地名は、「今泉」と言い、電球一個十銭という時代であった。食料品、衣類からせと物、文房具、玩具まであらゆる物を取り扱っていたという。「デパートなんて言っても、いわゆる“よろずや”ですよ」と荘吉さん。昭和四十六年に酒類販売の資格を取得し、いまの酒屋としての業態となった。

荘吉さんと一緒に店を守るのが息子の後藤圭一さん。大学卒業後、東京の広告代理店に勤めたが、家業を継ぐため帰郷、(株)矢野で三年間修業し業界のことを学んだ。

「時代に合ったやり方に変えていかないと小さな店は生き残れない。そのために、異業種の人たちとのつながりを大切にし、勉強させてもらっている」と話す圭一さん。自身も青年会議所の理事長やファッションウィークの実行委員を務めるなどまちづくりにも積極的に取り組む“イクメン”である。
お店には、群馬の地酒が一際多く並んでおり、地元を愛する後藤酒店の心意気が感じられる。