桐生商工会議所　会員事業所からの発信

創意工夫を楽しむ　【山洞金物店】

山洞金物店では、各種金属材料のインターネット販売を行なっている。創業四十八年の老舗金属卸問屋であり、現在は二代目の山洞貴正氏が店主である。金属材料のネット販売を手掛ける事業所としては全国でも先駆けであり、一般的な流通ルートでは入手困難な珍しい商品を極小ロットで販売している。

顧客は、趣味で工作をする個人や会社、大学などさまざまで、遠いところでは小笠原諸島の母島からの注文もあるという。

山洞氏がパソコンを始めたのは、一九九五年の阪神淡路大震災の時。震災の影響で電話・ＦＡＸが不通となり、業務連絡の代替手段としてインターネットの前身であるパソコン通信を活用したのがきっかけだった。二年後の一九九七年、インターネットサービスが開始されて間もないこの年、他社に先駆けて独自のホームページを開設した。当時ネットビジネスはまだまだ未開拓であり、かの「楽天市場」の登録店舗数が十数社という時代であった。そうした中、山洞氏は事業へのネット活用の可能性をいち早く感じ取り、ネット販売を開始した。

それまではビジネスにおいて企業規模の大小が価値判断のほとんどを占めていたが、「ネットビジネスで重要なことは『情報力』である」という確信のもと、「創意工夫を楽しむ」ことを原動力とし、情報力を高める努力を続け、事業を軌道に乗せてきた。

そのスタンスは今も変わらず、好奇心溢れるその様子は、これからも面白いことを企ててくれそうだ。