桐生商工会議所 会員事業所からの発信

文化の継承を 【大畑染物店】

大畑染物店

・住所:桐生市錦町2-13-6
・電話:0277-44-6338

大畑染物店

桐信本店の向いにある大畑染物店(錦町二)は、大正十一年に創業し、今年で八十九年の歴史を持つ。店主の大畑修一さんは四代目として店を守っている。

染物店という名の通り、以前は染色も行っていたが、現在は、和服のシミ抜きが主となっている。

長年の仕事で培ったシミ抜きの技術は、一朝一夕には真似できない。自然に着物や帯などの品質を見極める目も養われたという。

シミ抜きの作業には、特殊な分解酵素を使うが、腕の見せ所となるのが“湯のし”と言われる仕上げ作業。シワや型崩れした着物を蒸気に当てながらきれいに伸ばしていく。息の合った夫婦ならではの技である。そうした丁寧な仕事は信用となり、足尾や小山など遠方から訪れるお客もいる。

しかし、桐生の繊維産業の衰退に逆らうことはできず、年々仕事量も激減しているそう。

「最近は着物を着る人自体が少なくなってしまった。それは、桐生に住んでいるのに寂しいこと。もっと多くの人が着物に親しんでほしい」と大畑さん。自らも事あるごとに着物姿で出かけ、その文化を伝えている。

「もう、すぐにでも店をたたみたい」と嘆く大畑さんだが、この店に寄せられる信頼と確かな技術が、その願いをまだまだ叶えてくれそうにない。