桐生商工会議所　会員事業所からの発信

良き伝統を守る　【つじきん】

東五丁目にある「つじきん」は、和服、結納品を取り扱う昭和二十三年創業の老舗店である。先々代は染色業、先代は買継商を営んでいた。現在は小売業にその形態を変えたが、和装の流れを今なお汲んでいる。　店内に入ると、すぐ目に飛び込んでくるのが、華やかに並んだ結納品の数々。十年程前から販売を手掛けるようになった。

「最近は、結婚するのに仲人も立てないし、結納もしない人が増えたが、日本の伝統文化、素晴らしい習慣を守りたい」と店主の辻正男さん。

結納の品には、「寿留女（するめ）」「子生婦（こんぶ）」「友白髪（ともしらが）」などというように全て意味を含んでいる。そんなことは露知らずの若者が相談に来ると、ついつい親身になって、説明にも力が入ってしまうそうだ。「それでも、結納というものを理解して、執り行なったお客様は、必ず『やって良かった』と言ってくれる」と辻さんは誠実に語った。その他にも、店では桐生では唯一と言っていい藍田正雄の江戸小紋や龍村美術織物の品といった知る人ぞ知る商品も取り扱っている。

本物を追求するこだわりと、伝統を守ろうとするまごころが、「つじきん」にはある。